遺伝と病気は混同されやすい
日本人がかかる病気には様々なものが存在するが、病気にかかった場合、同じウイルスによる症状であっても、重症化の有無に関しては異なることがわかっている。この要因の1つに、遺伝情報の違いがあげられるが、多くの日本人が遺伝について誤解しているのも事実だ。遺伝というと、親から子へ引き継がれる情報のような印象を持つ人も多い。実際、顔が似ていることは、遺伝情報に起因している。
しかし、高血圧などはどうだろうか。高血圧に関しては遺伝とは考えにくいが、高血圧の親を持つ子どもの多くが、高血圧を患っている。この主な要因として、食生活などの乱れによる環境的なものが挙げられるだろう。遺伝疾患による病気とは伝わるものでなく、染色体異常という別の次元の話なのだ。つまり、日本人が考えている遺伝疾患による病気は伝わるものでなく、変化という方が表現として正しいことになる。遺伝疾患については、治療が困難だ。
遺伝情報というものは、すべての細胞が同様に保持している。体の部分で細胞の組織が異なるのは、遺伝子情報特定部分を書き出すために、特有の機能を持つ機関を形成しているからだ。だが、DNA自体は細胞の核に含まれるたんぱく質のわずか数%にすぎず、見つけることは非常に困難となる。そこで、新たな技術として微生物を用いたメタゲノム解析を確立し、遺伝子の塩基情報を解読する技術が期待されており、人間の遺伝子改変についての法律も各国で議論されることが予想できるだろう。